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21.Convincer(納得基準)

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21.Convincer(納得基準)

納得基準は、人が物事に対して「納得する」「信じる」「確かだと思う」ために、どのような証拠を必要とするかという思考傾向です。同じ説明を聞いても、すぐに納得する人もいれば、何度も確認しないと納得できない人もいます。また、図や映像を見て納得する人もいれば、実際に体験してみないと信じられない人もいます。

納得基準は、大きく分けると「どのような情報で納得しやすいか」と「どのくらい説得を受けると納得するか」という2つの観点から理解できます。

どのような情報で納得しやすいか(納得チャネル)

・視覚タイプ
視覚タイプの方は、目で見える情報によって納得しやすい傾向があります。図、表、写真、動画、実演、グラフなどを通して、具体的なイメージが持てると「なるほど」と感じやすくなります。心理的な特徴としては、

・言葉だけの説明よりも、見て確認できる情報を重視する
・全体像や変化のイメージが見えると理解しやすい
・曖昧な説明よりも、具体的に示されたものに安心感を覚える

といった点があげられ、次のような言葉をよく使う傾向があります。

よく使う言葉
「見せてください」「イメージできます」
「図にするとどうなりますか?」
「実際にはどんな感じですか?」
「見ればわかります」「目に見える形で知りたいです」

・聴覚タイプ
聴覚タイプの方は、説明を聞いたり、話し合ったりすることで納得しやすい傾向があります。相手の言葉、声の調子、説明の流れ、会話の中でのやり取りを通して理解を深めていきます。心理的な特徴としては、

・丁寧な説明や対話を重視する
・自分の中で「話が通った」と感じると納得しやすい
・誰かから直接説明を受けることで安心しやすい

といった点があげられ、次のような言葉をよく使う傾向があります。

よく使う言葉
「説明してもらえますか?」
「話を聞いて納得しました」
「もう少し詳しく聞きたいです」
「その理由を聞かせてください」
「言われてみると、そうですね」

・体感覚タイプ
体感覚タイプの方は、実際にやってみたり、自分で経験したりすることで納得しやすい傾向があります。頭で理解するだけでなく、身体感覚や実感、手応えを通して「これは確かだ」と感じます。心理的な特徴としては、

・実際に試してみることを重視する
・理屈よりも、自分の感覚や手応えを大事にする
・経験を通して少しずつ確信を深めていく

といった点があげられ、次のような言葉をよく使う傾向があります。

よく使う言葉
「やってみないとわかりません」
「実感が湧きました」
「しっくりきます」
「手応えがあります」
「体験してみて納得しました」

どのくらい説得を受けると納得するか(納得モード)

・一度で納得するタイプ
一度見たり、聞いたり、体験したりするだけで納得しやすいタイプです。判断が早く、行動に移るスピードも速い傾向があります。しかしながら、十分に確認しないまま信じてしまうこともあるため、場合によっては早合点や誤解につながることもあります。

よく使う言葉
「すぐにわかりました」
「もう大丈夫です」
「それなら信じられます」
「すぐ納得しました」

・何度か確認して納得するタイプ
一度だけではなく、何回か同じような証拠を得ることで納得しやすいタイプです。たとえば「3回うまくいったら信じられる」「何度か説明を聞けば理解できる」といった形で、一定の回数が確信の基準になります。

よく使う言葉
「何回か試してみたいです」
「何度か聞くとわかってきます」
「もう少し確認したいです」
「数回うまくいけば安心できます」

・一定期間を経て納得するタイプ
ある程度の期間、継続して確認することで納得しやすいタイプです。短期的な結果よりも、「しばらく続けてどうか」「一定期間安定しているか」を重視します。慎重で堅実な判断ができる一方で、納得するまでに時間がかかることもあります。

よく使う言葉
「しばらく様子を見たいです」
「続けてみないとわかりません」
「一定期間、結果が出たら信じられます」
「もう少し時間をかけて確認したいです」

・継続的に確認し続けたいタイプ
一度納得しても、その後も継続的な証拠や確認が必要なタイプです。常に安心材料を求めるため、慎重で丁寧な確認ができる反面、不安が残りやすかったり、なかなか確信が安定しにくかったりすることがあります。

よく使う言葉
「本当に大丈夫ですか?」
「今も変わっていませんか?」
「常に確認しておきたいです」
「継続して結果が出ていないと不安です」

Convincer を活用するポイント

・相手の納得チャネルに合わせる
視覚タイプの方に対しては、図や資料、実演、具体的なイメージを示すことが効果的です。
聴覚タイプの方には、丁寧に説明したり、対話の時間を取ったりすることが大切です。
体感タイプの方には、実際に試してもらう、体験してもらう、小さく行動してもらうことが役立ちます。

相手の言動を確認しながら、相手の納得チャネルを考慮した言葉がけが役に立ちます。

・納得モードを尊重する
一度で納得するタイプの方には、要点を絞ってわかりやすく伝えると、すぐに行動へ移りやすくなります。
何度か確認して納得するタイプの方には、繰り返し説明したり、複数の事例を示したりすることが役立ちます。
一定期間を経て納得するタイプの方には、焦らせず、継続的に様子を見る時間を確保することが大切です。
継続的に確認し続けたいタイプの方には、定期的なフィードバックや安心材料を用意すると信頼関係が安定しやすくなります。

大切なのは、「どうしてまだわからないの?」と急かすことではなく、「この人は納得するまでに、このくらいの証拠や時間が必要なのだ」と理解することです。

・コミュニケーションを改善する
納得チャネルやモードの違いによって、日常の会話や相談場面では次のようなズレが生じることがあります。

例.
相談者:
「この方法、本当に効果があるんですか?」

支援者:
「はい。こちらのデータを見てください。多くの方に効果があるのが一目瞭然ですから。」

相談者:
「でも、自分に合うかどうかは、やってみないとわからない気がします。」

支援者:
「・・・」

この場合、相談者は単に疑っているのではなく、体感タイプであり、自分で試してみることによって納得する方なのかもしれません。もし支援者が相談者の納得チャネルを理解していると、次のように関わることができます。

例.
相談者:
「この方法、本当に効果があるんですか?」

支援者:
「はい。こちらのデータを見てください。多くの方に効果があるのが一目瞭然ですから。」

相談者:
「でも、自分に合うかどうかは、やってみないとわからない気がします。」

支援者:
(ああ、この方は体験して納得するタイプかもしれない。)
「たしかに、実際にやってみないと実感しにくいですよね。では、まずは1週間だけ試してみて、その結果から継続するか再度考えてみましょうか」

相談者:
「そうですね、まず1週間だけなら。」

このように、相手の納得チャネルに合わせることで、相手を無理に説得しようとしなくても、自然に納得しやすい形を整えることができます。

・寄り添いに活用する
相手の気持ちに寄り添うには、相手が何をもって安心し、何をもって納得するのかを理解することがとても大切です。

視覚タイプの方には、話の整理図やメモ、変化の記録などを示すと安心しやすいかもしれません。
聴覚タイプの方には、丁寧に言葉で確認しながら進めることが大切です。
体感タイプの方には、気持ちや身体の反応、実際の行動後の手応えを大事にするとよいでしょう。
また、納得までに時間がかかる方に対しては、焦らせないことも重要です。納得するまで時間を要するのは、その方にとって慎重に確認することが安心につながっている場合があります。その思いを尊重することが持続的な信頼関係につながっていきます。

まとめ
上記はあくまで一般例です。

視覚タイプ、聴覚タイプ、体感タイプ、論理タイプの中にも様々な人がいます。また、一度で納得する場面もあれば、時間をかけて確認したい場面もあるように、同じ人でも状況によって納得基準が変化することもあります。

ただ、もしあなたが相談を受けることが多いのであれば、相手の納得基準を意識することで、「どう伝えれば届きやすいか」「どのくらい待てば納得しやすいか」が見えやすくなります。その結果、相手は無理に説得された感じではなく、自分に合った形で理解し、安心し、前に進みやすくなるかもしれません。

この記事の筆者

秋吉 藤吾

秋吉 藤吾

やすらぎカウンセリングオフィス 代表。4つの心理療法・心理学をベースに、一人ひとりの心の声に丁寧に耳を傾けることを大切にしています。