ある出来事によって生じた感情やエネルギーが、「その場だけで収まる」傾向があるか、「他の領域や時間にも続く」傾向があるかという、感情の広がり方のクセを示す思考傾向です 。単一方向型、多方向型 それぞれの傾向を持つ方の特徴は次の通りです。
・単一方向型
ある場面で生じた感情を「その出来事・相手」だけに比較的とどめやすいタイプです。心理的な特徴としては、
- 状況や相手ごとに感情を切り分けるのが得意で、感情の境界線がはっきりしている
- 「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と気持ちを柔軟に切り替え、感情に飲み込まれにくい
といった点があげられ、次のような言葉をよく使う傾向があります。
よく使う言葉
「あれとこれとは別」
「切り分ける」
「整理する」
「ここだけ」
「切り替えて」
・多方向型
ある場面での感情が、他の領域や相手、他の時間帯など、生活全体ににじみ出やすいタイプです。心理的な特徴としては、
- 感情の境界線がゆるく、一つの出来事で引き起こされた感情が生活のあらゆる面に影響を及ぼしやすい
- 一つの失敗やストレスを引きずりやすく、「一つうまくいかないと、全部ダメな気がする」と感じやすい
- ハッピーな出来事があると、しばらくいい気分が続く
といった点があげられ、次のような言葉をよく使う傾向があります。
よく使う言葉
「ずっといい(ダメな)感じ」
「どれもこれも」
「引きずってしまう」
「あちこちに影響して」
「全部ダメな(うまくいく)気がする」
単一方向型 / 多方向型 を活用するポイント
・強みを活かす
単一方向型の方は、感情の波に左右されにくいという特徴があります。しかしながら、感情の制御を行いすぎるあまり、自身の精神的な疲労や傷つきをないがしろにするおそれがあります。
多方向型の方は、ポジティブな感情に溢れている時は、周りにも良い影響をもたらします。一方でネガティブ感情に溢れている時は八つ当たりと言った不適切な言動に走りがちです。
このタイプをもし「ポジティブ感情では多方向型、ネガティブ感情では単一方向型」みたいに器用に使い分けられたらとても素敵ですし、それが望ましいと言えるかもしれません。しかし、ある程度は個人の傾向として固定していることも多いため、大切なのはそれぞれのタイプを理解し、そのタイプに応じた対応を取ることだと思います。
・コミュニケーションを改善する
単一方向型の方と多方向型の方で議論や会話をすると、次のようなズレが生じることがあります。
例.
多方向型:「昨日仕事で上司にひどく怒られちゃってさ。もう自分は何をやってもダメな人間なんだ、人生真っ暗だよ。」
単一方向型:「今回のプレゼンが準備不足だっただけでしょ? 次に活かせばいいだけの話だし、今はプライベートなんだから区切りつけてよ」
多方向型:「……(僕の辛さを全然わかってくれない……)」

あくまで思考傾向の違いでお互いの想いを話しているだけですが、多方向型の方は「ドライで冷静すぎる」「否定された」と残念な気持ちになりがちです。もし、多方向型の方がメタプログラムを学んでいると次のように切り返せるかもしれません。
例.
多方向型:「昨日仕事で上司にひどく怒られちゃってさ。もう自分は何をやってもダメな人間なんだ、人生真っ暗だよ。」
単一方向型:「今回のプレゼンが準備不足だっただけでしょ? 次に活かせばいいだけの話だし、今はプライベートなんだから区切りつけてよ」
多方向型:(ああ、そうだった。彼女は単一方向型だった。)
「ごめん、確かに僕はいつもこうやって引っ張りがちだよね。参考までに、どうしたらそんな風にすぐ気持ちを切り替えられるのか聴いてもいい?」
単一方向型:「え?私の場合は、終わったことを考えても仕方ないから『目の前の今』にだけ集中する、ただそれだけかな…」

この例でもある通り、メタプログラムを学ぶと「相手は冷たい」と感じるのではなく、「感情の広がり方が違うだけ」と捉えられるようになります。
・寄り添いに活用する
相手の気持ちに寄り添うには、相手のタイプを理解することがとても大切です。
単一方向型は、感情を限定的に捉えるため、一見すると淡々と対処しているように見えます。カウンセリングなどにおいては、その切り分ける力を支持しつつも、本人が気づかないうちに溜め込んでいるかもしれないしんどさや抑えている思いを一緒に探ることが、相談者の癒しにつながるかもしれません。
多方向型は、一つの感情が生活全体に波及し、ネガティブな感情の場合には「全否定感」を抱きやすい傾向があります。カウンセリングなどにおいては、お話を遮らずに共感的に聴いた上で、いいかえや要約などの伝え返しを用いて、「これは“あの場面”の“あの出来事”で生じた感情であり、今のお話はその感情に飲み込まれている」と自覚できるよう丁寧にお話の整理を支援することが大切です。
まとめ
上記はあくまで一般例であって、単一方向型、多方向型それぞれの中にも様々な人がいます。ただ、もしあなたが相談を受けることが多いのであれば、相手のタイプによって感情の紐解き方や寄り添いを使い分けられるようになると、相談してくる人はよりあなたへの信頼感を増すかもしれません。
